ゼタ・スピニング(Zetta-Spinning)方式とは

Zetta-Spinning方式は、世界で唯一Nanofiberを大量かつ安全に生産することを可能とした方式です。また、Zetta-Spinning方式は、Nanofiberの生産方法として一般的に使用されているESD(Electro Spray Deposition)と異なる特徴として、ポリマーを膨潤するのに溶融・溶媒の両方に対応しています。特筆すべきことは、ESD方式のように高電圧を使用せず、高速高温エアーだけで生産しているため安全な生産を行えます。更にESD方式ではできない溶融に対応しているため、有毒な有機溶媒を使用せずに安全なマスクが生産できます。

Zetta社では、溶媒を使う場合は、溶媒として水を用いるポリマー(PVA、PEG、ヒアルロン酸、など)だけを使用することにしています。巷では、ESD方式を使ったナノマスクが販売されていますが、肝臓障害を引き起こすDMF、DMACが残留しているためご注意ください。韓国では残留溶媒があるマスクを40万枚小学校に配布して大きな問題となっています。

Zetta-Spinning 溶融方式は、繊維径がφ400nmのNanofiberを大量生産可能であるため、これまで活用できなかったファンデルワールス力(分子間力)を使った安全な抗菌効果が発現しています。

Zetta Spinning方式

3次元構造(溶融方式)

Zetta-Spinningとして溶融で生産することで圧倒的な量が生産されます。

また、高速高温エアーで延伸をさせるため、繊維径が大きく違うNanofiberが混在することで大きな空間が存在します。

これによって3次元構造を持ったシートになります。(図1参照)

(図1)

3次元的に綿状であることでエアーが縦方向だけでなく横方向にも通ることで圧力損失を低く抑えることができます。(図2参照)

(図2)

従来方式よりも安全な生産技術(溶融方式)

Zetta Spinning方式の溶融では、MFR(Melt Flow Ratio)の非常に高いPP(ポリプロピレン)を使用します。

これによって、有害な有機溶媒を一切使用せず、熱だけで溶融し膨潤状態を作りNanofiberを紡糸しています。

また、Nanofiberでは、PPが可燃物でありながらNanofiberの形状をしている時は、不思議なことに1300度のバーナーを当てても燃えない難燃物となります。

その結果、ESD方式で最も大きな問題であった爆発事故は、まったく起きることがありません。

生産コストを大幅に圧縮

Zetta Spinning方式のスプレーノズルは、Melt Blownのダイに比べて生産量で1000倍以上の生産性があり、繊維径も200nm以下のNanofiberを達成しています。

その結果、装置も小型で大量に生産が可能となります。

また、ランニングコストもMelt Blownに比べて1/5程度に少なくなります。

設備においても安全なPPを使用することで排気処理などが不要です。

安価な原材料で生産可能(溶融方式)

Zetta-Spinning方式の溶融で生産可能なポリマーの代表的なものはPP(ポリプロピレン)とPET(ポリエステル)です。

これらの材料は、安全で安価な材料です。特徴としては、

  1. PP(ポリプロピレン)
    比重が0.9( g/cm3)で水に浮かび、Nanofiberは超撥水性が発現します。
    PPのNanofiberの綿はオイルを自重の50倍以上吸収します。
    そのために、オイルが海難事故で海上に流出したときにオイルを回収することに威力を発揮します。
  2. PET(ポリエステル)
    比重が1.34( g/cm3)で水に沈みます。
    PPに比べて親水性の特徴を有します。
    PETのNanofiberもオイルは吸いますが、自重の20倍程度です。
    主に衣料関連に適用が可能です。